サン・ジョルディの伝説 昔々、カタルーニャと呼ばれる国がありました。 その国には、地を駆け、空を飛び、海を泳ぎ、一息で森や作物を焼き尽くすことのできる獰猛な恐ろしいドラゴンがおり、住民たちは怪物の怒りを鎮める為に、毎日1人ずつ生け贄を捧げておりました。 ある日、王様の娘が生け贄になる順番がまわってきました。大勢の人がお姫様のことを思い、身代わりになることを申し出たのですが、王様はその申し出を受け入れません。悲しみに心を引き裂かれそうになりながらも、可愛い娘に残酷な運命を全うさせる他なかったのです。 ところが、お姫様が餌食になろうとするその時、真っ白い駿馬に跨がり、黄金に輝く甲冑をまとった1人の若い騎士が姿を現しました。彼こそが、お姫様を救いにやって来た騎士サン・ジョルディだったのです。 サン・ジョルディとドラゴンは激しく戦います。ドラゴンの強さは圧倒的で、厳しい戦況が続きました。しかし、善は常に勝利を収めるもので、サン・ジョルディの手にした槍がドラゴンの心臓を貫き、見事お姫様を救い出すことができたのです。 溢れ出したドラゴンの血からは、見たこともないほど美しい薔薇が咲き、サン・ジョルディは、その中でも最も美しい薔薇を手折り、永遠の愛のシンボルとしてお姫様に贈ったのです。 それ以来カタルーニャの人々は、毎年4月23日をサン・ジョルディの日とし、愛する人たちに美と教養、愛と知性のシンボルとして、1本の薔薇と1冊の本を贈ってこの日を祝っているのです。 1996年には、この4月23日は“世界本の日”として、ユネスコに指定されました。
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